こんにちは。株式会社kairo代表の諏訪です。
人材派遣業において、派遣スタッフの出退勤管理は、派遣料金の精算や労働時間の管理にも関わる重要な業務の一つです。
この記事では、「取引先の会社から共有される出退勤簿の集計を自動化する仕組み」のデモンストレーションについて紹介いたします。
※本記事は、人材派遣会社における一般的な業務フローをもとに、業務自動化の例を紹介するケーススタディです。紹介する内容やシステムはデモンストレーション用に構築したものであり、実際の企業への導入事例ではありません。
想定業務と自動化のターゲット
前提として、人材派遣業には下記のような業務があると想定しております。
1. 人材派遣依頼の受注(顧客 -> 派遣会社)
これは、人材派遣を要請する顧客側から、派遣会社への依頼を受け付け、具体的な時期、派遣の規模感などを確認するための業務です。
2. 派遣計画の作成と見積もり(派遣会社 -> 顧客)
次に、顧客からの要望に対し、具体的な派遣計画と、その見積もりを作成する業務があります。登録されているスタッフの人数や稼働状況、他の派遣案件との兼ね合いなどを考慮し、派遣計画を作成します。
3. 派遣・実業務(派遣会社 -> 顧客)
2の派遣契約を元に、スタッフを現場に派遣し、業務を行ってもらいます。また、実際に業務を行った時間を「出退勤簿」に入力してもらい、FAXなどで派遣先企業から派遣会社へ定期的に共有してもらいます。
4. 勤怠集計・請求
3で提出された出退勤簿を元に、スタッフの勤怠時間を集計し、作業料金の請求を行います。

今回は、上記3〜4番の「スタッフが記入した出退勤簿を集計する業務」に着目しました。
最近では、派遣スタッフ自身がそれぞれのスマホを用いて出退勤を入力し、自動集計するようなアプリ・システムを利用している派遣会社もあるかもしれません。
しかしこうした業務は定型的である一方、単体では大規模なシステム開発を行うほどではなく、FAXで受け取った内容を担当者が手作業で転記しているケースも少なくないと思います。
自動化システムの構成
業務自動化のためにFAXを完全に排除しようとすると、取引先企業に対しても、業務フローを変えてもらう必要があり、システム移行などの調整に工数がかかります。そこで、出勤簿をFAXで受け取る仕組みはそのままに、後段の処理のみを自動化するシステムを構築しました。
具体的には、FAXで受信した出勤簿をPDFファイルとして取得し、OCR(文字認識)を適用して、出勤簿の内容を構造化データへ変換します。
FAXからPDFファイルを取得する方法としては、複合機からメールへ転送する方法や、インターネットFAXサービスが提供するAPIを利用する方法などがあります。

システム構築にて使用したもの
システムを構築するため、以下のツールやサービスを使用しました。また、それぞれのツールを統合するためのプログラムについては、弊社が提供するシステム運用基盤Autolet上にて構築し、定期的な実行を行えるようにしました。
1. インターネットFAX
複合機によっては、受信したFAXをPDFとしてメールや共有フォルダへ転送する機能が提供されています。本記事では、簡便さのため、「Dropbox FAX」というサービスを利用し、FAXを受信する仕組みを用意しました。
2. OCRツール
OCR(文字認識)ツールとして、今回はOpenAI社の「GPT-5.6 terra」を使用しました。今回のデモでは、A4サイズの出勤簿1枚あたり約1〜3円で処理でき、OCRから構造化データの生成まで約5秒で完了しました。
3. OCR用、出勤簿フォーマット
今回のデモでは、氏名・勤務日・開始時刻・終了時刻・休憩時間など、あらかじめ抽出する項目を定義しています。これにより、OCR結果をそのまま後続処理で利用できる構造化データとして取得します。
下記が具体的な出勤簿フォーマットです。これは、労働基準監督署のタイムシート様式を参考に作成しました。
4. データ集計用のスプレッドシート
デモでは、出勤簿の集計結果をGoogleスプレッドシートに出力するように設計しました。
出勤簿自動処理のデモ
デモとして、「株式会社 作業所A」という架空の会社から、派遣元の「株式会社テスト」に対し、派遣スタッフの出勤簿(タイムシート)をFAXで送る例を紹介します。
まず、下記のような出勤簿をFAXで送信します。本デモでは、Dropbox FAXを使用し、自分自身の電話番号に対し、FAXを送信しました。

FAXを受信すると、Dropbox FAXはそのPDFデータを、即時に弊社のGoogle Driveに保存します。

次に、Google Driveにアップロードされたファイルに対し、OCRが実行されます。このステップは、Google Workspaceを利用している組織であれば、Google Apps Scriptを用いて実装することもできます。

弊社では、自社サービスの運用基盤として、スクリプトを継続的に実行・監視するためのインフラを構築しています。今回はこの基盤上に、OCRの実行とデータ集計処理を実装・デプロイしました。Google DriveにアップされたPDFに対して、OCRが実行され、その結果は下記のスプレッドシートのような形式で出力します。

ここまでの内容が、出勤簿をFAXとして受信すると、自動的にスプレッドシートに出勤簿の内容が集計される仕組みのデモとなります。
「FAXの受信 -> PDFファイルの保存 -> OCRの実行 -> スプレッドシートへの集計」という、人の手を介さず、一連の処理が自動的に完了する仕組みを実現できました。
この仕組みをさらに拡張し、集計結果に契約単価を組み合わせることで、顧客ごとの精算金額の計算や派遣スタッフの労働時間の計算などを自動的に行う仕組みを構築することも可能です。
終わりに
本記事ではFAXで送受信する出勤簿を自動でデータ化、集計する仕組みと、そのデモを紹介させていただきました。
弊社では、さまざまな業務を自動化するためのシステム開発・運用を外注できる「Autolet」というサービスを提供しております。
Autoletは、「自動化したい業務はあるが、それを実現できるエンジニアがいない」「仕組みを維持するためのノウハウ伝達や教育体制が整っていない」といった企業様に向けた、業務自動化のアウトソーシングサービスです。
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